2007年03月19日

波束モデル_(3)

前回は、ψ(x,0)とt=0と時間を限定していましたが、これの時間発展であるψ(x,t)を議論しないと、波束モデルを導入して「エーレンフェストの定理」の適用を説明したことになりません。結果的には、この「波束モデル」の限界を示すことになりますが、少し話を進めてみます。これには

ψ(x,0)=(2π)-1/2∫A(k)exp(ikx)dk

から

ψ(x,t)=(2π)-1/2∫A(k)exp[i{kx-ω(k)t}]dk

に代える必要があります。一般にωはkの関数です。
t=0では、ω(k)=ω(k0) なので、
ω0≡ω(k0) 、α≡(∂ω/∂k)|k=k0 、β≡(∂2ω/∂k2)|k=k0  とすると、

ω(k)=ω0+α(k-k0)+(β/2)(k-k0)2

とテイラー展開でき、さらに k'≡k-k0 とすると、

ω(k)=ω0+αk'+(β/2)k'2

とすることができます。ここで、

A(k)=21/4π-1/4σ1/2exp{-σ2(k-k0)2}

を、k'で表わすと、

A(k')=21/4π-1/4σ1/2exp(-σ2k'2)

であり、

kx-ω(k)t=(k'+k0)x-(ω0+αk'+(β/2)k'2)t

なので、

ψ(x,t)=2-1/4π-3/4σ1/2∫exp[-σ2k'2+i(k'+k0)x-i(ω0+αk'+(β/2)k'2)t]dk'

となります。さらにk'に対して定数となる exp{i(k0x-ω0t)} を積分の外にくくり出すと、

ψ(x,t)=2-1/4π-3/4σ1/2exp{i(k0x-ω0t)}∫exp{-σ2k'2+ik'x-i(αk'+(β/2)k'2)t}dk'
=2-1/4π-3/4σ1/2exp{i(k0x-ω0t)}∫exp[-(σ2+i(β/2)t)k'2+ik'(x-αt)]dk'
となりました。ここで、

2+i(β/2)t)k'2-ik'(x-αt)=(σ2+i(β/2)t)[k'2-i{(x-αt)/(σ2+i(β/2)t)}k']

なので、[ ]内に注目すると、

k'2-i{(x-αt)/(σ2+i(β/2)t)}k'
=[k'2-i{(x-αt)/(σ2+i(β/2)t)}k'-{(x-αt)/2(σ2+i(β/2)t)}2]+{(x-αt)/2(σ2+i(β/2)t)}2
={k'-i(x-αt)/2(σ2+i(β/2)t)}2+{(x-αt)/2(σ2+i(β/2)t)}2

となります。よって、

2+i(β/2)t)k'2-ik'(x-αt)=(σ2+i(β/2)t)[{k'-i(x-αt)/2(σ2+i(β/2)t)}2+{(x-αt)/2(σ2+i(β/2)t)}2]
=(σ2+i(β/2)t){k'-i(x-αt)/2(σ2+i(β/2)t)}2+{(x-αt)2/4(σ2+i(β/2)t)}

なので、

∫exp[-(σ2+i(β/2)t)k'2+ik'(x-αt)]dk'
=∫exp[-(σ2+i(β/2)t){k'-i(x-αt)/2(σ2+i(β/2)t)}2-{(x-αt)2/4(σ2+i(β/2)t)}]dk'
=exp[-{(x-αt)2/4(σ2+i(β/2)t)}]∫exp[-(σ2+i(β/2)t){k'-i(x-αt)/2(σ2+i(β/2)t)}2]dk'

です。また積分だけを考えると、∫exp(-x2/a)dx=(aπ)1/2 から

∫exp[-(σ2+i(β/2)t){k'-i(x-αt)/2(σ2+i(β/2)t)}2]dk'=(σ2+i(β/2)t)-1/2π1/2

なので、

∫exp[-(σ2+i(β/2)t)k'2+ik'(x-αt)]dk'=(σ2+i(β/2)t)-1/2π1/2exp[-{(x-αt)2/4(σ2+i(β/2)t)}]

となり、

ψ(x,t)=2-1/4π-3/4σ1/2exp{i(k0x-ω0t)}(σ2+i(β/2)t)-1/2π1/2exp[-{(x-αt)2/4(σ2+i(β/2)t)}]
=2-1/4π-1/4σ1/2exp{i(k0x-ω0t)}(σ2+i(β/2)t)-1/2exp[-{(x-αt)2/4(σ2+i(β/2)t)}]

なので、

ψ(x,t)*=2-1/4π-1/4σ1/2exp{-i(k0x-ω0t)}(σ2-i(β/2)t)-1/2exp[-{(x-αt)2/4(σ2-i(β/2)t)}]

より

|ψ(x,t)|2=ψ(x,t)*ψ(x,t)
=(2π)-1/2σ{(σ2+i(β/2)t)(σ2-i(β/2)t)}-1/2exp[-{(x-αt)2/4(σ2+i(β/2)t)}-{(x-αt)2/4(σ2-i(β/2)t)]
=(2π)-1/2σ{σ4+(β/2)2t2}-1/2exp[-{(x-αt)2/4(σ2+i(β/2)t)}-{(x-αt)2/4(σ2-i(β/2)t)]
=(2π)-1/2σ{σ4+(β/2)2t2}-1/2exp[-{(x-αt)2σ2/2(σ4+(β/2)2t2)}]

となります。ここで、

σ'≡σ√[1+{β2/(2σ2)}2t2]

とすると、

|ψ(x,t)|2=(2π)-1/2σ'-1exp{-(x-αt)2/(2σ'2)}

と、やはりGauss分布になります。

この意味についてはまた。
ラベル:物理
posted by T_NAKA at 00:11| Comment(0) | TrackBack(2) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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ヒルベルト空間かぁ。。
Excerpt: EMANさんの掲示板でヒルベルト空間のことが話題になっていますね。 量子力学には苦手意識があるので、どうもよく分からんというところです。 離散固有値の場合は何となくイメージできます。『電子物性論_量子..
Weblog: T_NAKAの阿房ブログ
Tracked: 2007-09-05 00:15

連続固有値というのは問題だよね。。
Excerpt: この話は、清水明「新版 量子論の基礎」(サイエンス社) に書いてあったんですが、もう一度おさらいです。
Weblog: T_NAKAの阿房ブログ
Tracked: 2013-06-28 13:16